部屋の一角、まだ何も置かれていない場所がある。ずっと何かを置きたいとは思っている。でも「これだ」と思えるものにまだ出会えていない。

その空白を埋めるものに出会える場所でありたい。

私たちDUNSTAN(ダンスタン)は、そんなあなたのために生まれたライフスタイルブランドです。

私たちが考えるスタイルのある人生とは、日々の生活の細部にいたるまでこだわりを持ち、そのこだわりを貫くこと。生き方そのものはもちろん、自身が暮らす空間、そこに置かれるもの、使うもの、身につけるもの、口にするもの、そのすべてを、こだわりを持って選ぶこと。

人に話しても伝わらない。なぜこだわるのか、なぜ妥協しないのか。理解されなくても、それでいい。自分にとって、譲れない基準だから。

DUNSTANというブランド名は10世紀のイギリスに生きた聖職者に由来します。DUNSTANは聖職者でありながら絵画やデザイン、金細工や鍛冶、音楽など、多彩な才能を持つ芸術家であり職人でした。カンタベリー大司教という要職に就いてもなお、自ら作業場を持ち、金属を叩いたり絵を描いたりし続け、自分が納得できるものや自分の手でものを作り出すことへの強いこだわりを持っていました。

そのこだわりは生き方そのものにも強く現れ、周囲にどう見られるかを気にせず、自分が良いと思うものだけを選び、自分のこだわりを貫き通す、まさにスタイルのある人生を歩んでいた人物です。

そんなDUNSTANが、もし現代に生きていたら、どんなものを選び、どんな暮らしをするだろうか。そのイメージから生み出される商品や空間を少しずつ世に出していく。そのために、ライフスタイルブランドDUNSTANは生まれました。

コーヒーから、ライフスタイルブランドへ

私たちは、京都でコーヒー店として生まれました。豆を選び、丁寧に焙煎し、一杯のコーヒーに向き合う。特別な日のためだけではなく、なんでもない朝や、代わり映えのしない一日にこそ、確かな一杯を届けたい。その姿勢は、今も何ひとつ変わっていません。

けれど、私たちが最初から見据えていたのは、コーヒーだけではありませんでした。朝に選ぶ一杯のコーヒーへのこだわりと、部屋に置くものへのこだわり、身につけるものへのこだわりが、別々のものであるはずがない。私たちはそう考えていました。こだわりというものは、生活のどこか一部分にだけ宿るものではなく、暮らしのすべてに、同じひとつの基準として通っているものだと思うからです。

コーヒーは、私たちにとって、その考えを最初に形にする手段でした。コーヒーという、ごく身近なものを通して、「自分の基準で選ぶ」という感覚を、少しでも多くの方に届けたい。そんな思いから、私たちの物語は始まりました。そして今、コーヒーという入り口を越えて、暮らしを取り巻くさまざまなものへと、その手を伸ばし始めています。

日々使う小さな道具も、身にまとうものも、空間を彩る家具たちも。私たちがこれから手がけていくものはすべて、コーヒーを選んできたのと同じ目、同じ基準によって選ばれています。だからこそ私たちは、自分たちを「コーヒー店」ではなく、暮らし全体を扱う「ライフスタイルブランド」として位置づけています。

蹄鉄に込めた意味

ダンスタンは宮廷に仕えていた頃、異教の詩や物語を研究しているとの疑いをかけられ、追放されてしまいます。行き場を失った彼は、ベネディクト会の修道士となり、グラストンベリーで隠遁生活を送ることを選びました。

ある日、鍛冶仕事に励んでいたダンスタンのもとに、一人の旅人が訪れます。馬の蹄鉄を直してほしいという頼みでした。けれど彼は、その旅人が悪魔であることをすぐに見抜きます。そして、馬ではなく、悪魔の足に、真っ赤に焼けた蹄鉄を打ち付けました。あまりの痛みに、蹄鉄を抜いてほしいと懇願する悪魔に、ダンスタンは、「蹄鉄が玄関に飾られた家には、二度と近づかない」という約束をさせました。

それ以来、蹄鉄は魔除けであり、安全と幸福の象徴とされています。悪魔を追い払った知恵と勇気、そして、まわりの人々の幸せを願う優しさ。私たちは、この逸話に込められたものを大切にし、蹄鉄をロゴに使っています。

少しずつ、増えていくもの

コーヒーから始まった私たちの取り組みは、今、少しずつ形を変え始めています。まずは、このテクノロジー全盛の時代に、アナログの極みでもある炎をともすためのキャンドル。そして、これから先には、暮らしの道具、身につけるもの、そして毎日の質を高めてくれる空間作りなど、さまざまなものたちが控えています。

とはいえ、私たちは急いで数を揃えるつもりはありません。世の中には、便利さや目新しさだけを理由に、次々と新しいものが生み出されています。けれど、そうして増えていくものの多くは、本当にこだわりを持って選ばれたものではないと、私たちは感じています。

だからこそ私たちは、自分たちが「これでいい」と、心から納得できるものだけを、時間をかけて、ひとつずつ形にしていくと決めています。素材を見極め、作り方にこだわり、何度も試作を重ね、これ以上ないと思えるところまで磨き上げる。そのすべての工程を、私たち自身の手と目で確かめてから、ようやく皆さまのもとへお届けすることができます。

ですから、今はまだ、多くを語れる商品があるわけではありません。棚に並ぶものは、決して多くはないかもしれません。それでも、この場所に流れる空気だけは、これまでも、これからも、何ひとつ変わることはありません。

これから少しずつ増えていくものたちを、どうか楽しみにしていてください。私たちは、あなたの暮らしの中に、こだわりを持って選ばれたものが、ひとつひとつ増えていくことを、心から願っています。

扉が開いている時間に

私たちDUNSTANは、京都の街の中で、日々静かに扉を開けています。大きな看板を掲げて、誰彼構わず呼び込むようなことはしていません。それでも、通りを歩いていて、ふと目に留まる瞬間があるとしたら。それは決して偶然ではなく、私たちが一つひとつ選び、大切に整えてきたものが、少しだけ顔をのぞかせた瞬間なのだと思っています。

私たちは、大人数のお客様を一度にお迎えするような、広く慌ただしい場所ではありません。だからこそ、いらしていただいたお一人お一人に、丁寧に向き合う時間を大切にしたいと考えています。

もし、この文章を読んだうえで、少しでも心に引っかかるものがあったなら。それは、あなたの中にある「これがいい」という感覚が、私たちの何かと重なった証かもしれません。

理屈や説明よりも、実際にこの場所に足を運び、空気そのものを感じていただくことが、私たちにとって、何よりも確かな説明になると思っています。ですから、扉が開いている時間に、ぜひもう一度、この場所を訪ねてみてください。そして、少しずつ、ゆっくりと、私たちのことを知っていただければと願っています。